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Mちゃんの一日一問 経世済民!

美人女子高生Mちゃんが一日一問経済クイズを出しちゃいます。→出してません。経済解説ブログに退化。

May 07,2024

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↑   by at 02:24

July 08,2007

● バブル期の雑誌を読んでみた その2

さて今日は87年6月~89年12月まで読破してきました。
日経平均は89年の12月末に最高値の3万8915円を記録したから、
ちょうど株価最高のところまで読んだことに。これからバブル崩壊に突入。

1987年(昭和62年 首相:中曽根 10月31日~は竹下)

・円高不況克服へ
 プラザ合意以後、日本経済を苦しめてきた円高不況も企業努力によってひと段落すると
 今度は円高のメリットが出て一気に景気が上向きに。
 この円高のメリットというのは輸入材料安と消費の拡大(とくに外国製品)の2つ。
 とくに外国製品のブームはおそろしく、外車が飛ぶように売れたらしい。

 5月では「内需拡大が景気回復の鍵になるだろう」と書かれていたが
 7月では「円高を生かした消費構造に変化」
 9月には決定的に景気回復感がある記事があり、雰囲気的には87年6月あたりが景気の転換点という感じがした。
 ちなみに景気の先行指標では61年の11月くらいには景気拡大に向かってたようだ。
 12月末の個人の金融資産は819兆円へ。(2年前は500兆円)

・ポスト中曽根と竹下内閣誕生
 中曽根の自民党総裁の任期1年延長の後、ポスト中曽根争いが熾烈を極める。
 主力候補の安竹宮(安倍、竹下、宮沢)のうち最有力は竹下(田中派)だったが
 膝元の田中派で長老たちが動き出し、87歳の二階堂を担ぐ流れもあり(この辺がドロドロすぎて面白いw)
 最終的に後継者は中曽根が決めることで安竹宮は合意。
 中曽根裁定と呼ばれる後継者指名があり、総理大臣は竹下に。

・ブラックマンデー
 10月20日、アメリカ市場が突如として崩れ、翌日の東証は史上最大(当時)の3836円の下げ。
 10月から年末までニュースは今後の予想ほぼ一色。(短期間に2万6000円から2万1000円まで下げた。)
 雑誌を読んで感じ取れたのは当時の「ジャパンマネー」の影響力のでかさ。
 東証で下げ止まらなかったら世界的な景気の転換点になるだろう。 とかどんだけw
 過去の栄光ですな・・・

 (ちなみにこの年の6月にFRBの議長にグリンスパンが就任。
 FRBの議長が変わると必ずこのような混乱があるらしいw)

さて、ブラックマンデーのその後はどうなるのか。
つづいてバブルにまみれた88-89年。


1988年 (昭和63年 首相:竹下登)

・ブラックマンデーのその後
 結果的に株価は暴落しても個人の消費は落ち込まなかった。
 東京市場では景気拡大を背景に株価は持ち直し、2月、3月に再び2万6000円の高値に迫る。
 一方アメリカ市場はなかなか立ち直れず株価は横ばい。
 為替では長らく1ドル130円台であったが、120円台突入。ますます円高に。

・貿易摩擦は最終局面に
 これでもかってほど円高になったので貿易摩擦は一段落。
 ウケた記事は、今度はアメリカで日本からの投資を規制するという議論がされ始めた。というニュース。
 いままでは 円が安すぎて安くていい製品きすぎだよ!!アメリカの産業壊すな!!!とかいってながら、
 いざ円が高くなると 日本人は金でアメリカの産業買収するな!!!!だもんな。すげーわw

・為替と株価
 4月に新高値をだして2万7000円突破
 6月に2万8000円突破。 
 為替は2,3月に120円台後半から翌年にかけにわかにドル高が進行する。
 多分もう為替は書かないけど89年はずっと140円台だと思っててオッケー。
 しかし6月に2万8000円を突破した株価は調整に入り、 11月まで2万7000円-2万8000円のレンジでの推移となる。

・リクルート事件
 消費、業績は伸びて板のにもかかわらず、株価が伸びなかった原因の一つがコレ。
 88年9月、リクルートの子会社リクルートコスモス(たしか不動産関連の会社だったはず)株が上場するに当たって
 有力議員、有力財界人に贈られたという事件。
 ぞくぞくと有力者が受け取っていたという事実がわかっていくため、ダラダラと長い間尾を引いた。
 この事件でポスト竹下では安倍、宮沢、中曽根、渡辺という有力者は全員脱落。
 竹下自身も秘書が謎の自殺を遂げたり、消費税の議論があいまって急速に求心力を失っていく。
 89年6月に宇野宗助、7月に海部俊樹とまったく予期せぬ人物が首相となる。
 宇野は竹下政権での外相だったが、海部にいたっては東洋経済でもリアルに一回も名前が出たことのないような人物で
 あらためてリクルート事件って凄い事件だったんだなあと。どんだけ自民党クリーンな人いないんだ。

・その他気づいたこと
 ・韓国のニュースがにわかにでてくる。
  85年から記事を見てるわけだけども、87,88年になって韓国の経済成長が目覚しいというニュースがちらほら。
  サムスンよりかはヒュンダイの方が注目されてたりしておもしろい。

 ・株価の予想はやや弱気が多い
  5,6,7,8,910月と2万8000円の壁が破れず、アナリストの中でもそろそろ天井かといった議論がでてきている。
  この予想は見事にハズレ、11月に天井突破、88年末には3万円に到達する。


1989年 (昭和64年&平成元年 首相:竹下登 6月宇野宗助 7月~海部俊樹)
この年はやばいね。まじでバブルを象徴するような記事が多すぎる。

・とまらぬ株高
 1月、3万1000円突破。時価総額で東証がトップに。
 2月、3万2000円突破。
 5月末 3万4000円。 8月3万5000円。
 12月末 3万8915円 (←最高値 2007年7月現在も抜けていない。)

・リクルート事件の余波
 上半期は政治の世界でリクルート事件がまだまだ猛威を振るう。(相場は完全に克服して上のように上昇。)
 政界のみならず財界人が受け取っていたり、竹下内閣は6月辞意表明、すったもんだの末に宇野宗助が総理に。
 さらに宇野は芸者スキャンダルで2ヶ月で退陣。首相の椅子は海部俊樹へ。
 この二人が総理になるなんてありえない。というのがよくわかった。まじで首相になるまで全く名前でてきてないもん。

・バブルの象徴的な出来事
 この年、日系企業が海外の会社を買収することが大流行。特に欧州では前年比50%の増。
 円高に加えてアメリカではブラックマンデーの影響でそれまで流行していたジャンク債がこけて(ソロモンは大ゴケしたが)、
 企業は軒並みお買い得価格になっていた側面もある。
 ソニーがアメリカの映画会社コロンビアを、三菱地所がNYのロックフェラーセンタービルを買収したことに対し
 アメリカのメディアは猛反発。「日本はアメリカの魂(映画)とNYの象徴(ロックフェラービル)を奪っていった」と。
 その一方でシティグループが日本の相互銀行買収に際し、日本の行政当局がストップをかけ破談に。
 日本のやり方はフェアでないと議論になる。

・異常な日本の価格
 このころの日本がドンだけ凄かったのかという数字があったので転載。
 ●東証上場企業のの平均PER=55倍 (アホかw それでもなお割安というアナリストも。)
 ●日本の地価総額=1262兆円 (アメリカは505兆円) ←西武の堤さんの個人資産10兆円で世界1の資産家に。
 ●日本市場の時価総額 3兆8402億ドル(全世界の44%) (参考:アメリカ2兆4809億ドル イギリス7181億ドル)
 ●銀行の資産ランキング 1-10位まですべて日系銀行 (シティより農林中央金庫の方が資産多い)
 以上は東洋経済1989年11月18日号のデータを転載。

 こりゃ、ジャパンアズナンバーワンだわ。日本が世界で一番の経済大国になるって思うのは当たり前。

・その他気づいたこと
 ●商社の激烈な売り上げ競争がやばすぎ

  雑誌を読んでいくと日本を引っ張ってきたのは商社だ、と強く感じられるんだけど、
  この商社間の売り上げ競争がやばすぎる。
  この頃の商社って収益度外視でマーケットシェア(売上高)を獲得することを目指してたのね。
  85年までは20年間三菱商事が1位だったのだけど、バブル期に入ってから伊藤忠がトップに浮上。
  (ちなみに社長は米倉の爺さんだw)
  三菱商事は 収益を考えない売り上げ競争には参加しない と宣言し、売り上げでは5位に転落する。
  これが後に功を奏すことになるのは皮肉なこと。

 ●雑誌の広告が
  宝飾品とか車とかばっかり。車はともかく、硬派の経済誌に宝飾品の広告が載るってのもすごいよなあ。
  そして、モデルも外国人が異常に多い。今でもハーフの芸能人は売れるけど、この頃はもっとこういう嗜好が強かったようだ。

 ●地価高騰のニュースはあんまない
  89年は地価が鬼上がってるはずなんだけど、特集を組まれてたり、地価が高くなりすぎてるみたいな記事は全くない。
  もはや上がるのが当たり前ってことになってたのかな。
  89年は3回公定歩合が上げられたのだけれど、地価は上昇しっぱなし。

 ●バブル崩壊は予想できてたのか?
  これね、1億総楽観だったのかな?と思ってたのだけど結構そうでもない。
  多くのアナリストは「地価の上昇が続けば株価も堅調」といったように地価の上昇が条件になってる。
  また、上場企業社長に対するアンケートでは
  政府、中央銀行に早急に対策すること のなかで 「高騰する地価対策」が過半数以上の支持を得てトップだし、
  識者の中では相当土地価格がバブルであることはわかっていたらしい。


さて、89年も暮れました。来年は日経平均8万円です!!!!
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バブルとその後

↑   by M でございます。 at 06:22 | comments(10)

July 06,2007

● 1985~ の雑誌を読んでみた その1

自分が覚えている中で最も古い経済のニュースってなに?

と聞かれるとどんなことを思い出すでしょう?
自分の場合、「住専」「不良債権処理」だとかそんな感じの単語が出てくる。
つまり自分が物心ついた時にはすでにバブルという時代は終わっていて、
バブルの処理に追われた90年代に育った「バブルを知らない世代」になる。

日本が世界で1番だった時代。
日本経済が21世紀型のモデルだ。
日本こそが文明の終着点、完成形だ。
といわれた時代、日本の狂乱状態、発展のダイナミズムを感じたくて、このころの雑誌を読んでみることにした。
やっぱ日本人なら知っとくべきっしょ。

読む雑誌は東洋経済を1985年4月から92年くらいまで読んでみるつもり。
今日1日で読み終わらすつもりだったんだけど85-87年までしか終わらんかったw

感想としてはすげーいいよ。まじオススメすぎる。
経済誌じゃなくても文春、新潮あたりが一番当時の雰囲気とか感じられそう。
以下内容。簡潔にバブルへゴー。

今日の記事のまとめ
・1985.4から1987.5までの大テーマをまとめてみよう。



①1985年(昭和60年:内閣は中曽根首相)

・貿易摩擦
 上半期のニュースの大きなテーマはコレ。
 記事にはドル高(2月:1ドル260円)でアメリカが巨額の貿易赤字がやべーってのがしばしば登場する。

・三光汽船倒産
 世界最大の海運会社で、昭和49年ごろには日本での時価総額NO.1だった三光汽船が会社更正法申請へ。
 東洋経済は週刊誌なので、時系列的に状況がどんどん悪くなっていくのがわかってつらい。
 商社や銀行がぞくぞくと大株主の欄から外れていくのな。沈み行く船からは・・・みたいな感じで。

・御巣鷹山日航機墜落事故
 東洋経済にはさほど登場しなかったけど、世間に与えた印象はすごかったはず。
 ちなみに日航はこの後、伊藤淳二カネボウ会長が日航会長になって労使に苦労するんだけど、
 そっちの話のほうがちらほらでてくることになる。

・G5後の円高
 一番上で書いたとおり上半期はドル高がテーマだったのだけど、
 10月からは一転、円高が大大大テーマになる。85年末と86年上半期のニュースはコレに関することばっか。
 ようはプラザ合意なんだけど、当時のメディアではG5での会談って書かれていて、固有名詞はまだなかったのかな。
 G5の合意によって240円だったドルは9月のG5後の10月に216円を記録。
 それで経済誌だから今後の予想とかでてるわけよ。それがことごとくハズレ狂ってて、当時の混乱状態がわかる。

(・就活事情)
 就活が早くなって7月から選考が始まっている!というニュース。
 各社アンケートでは11月選考開始が適正だと。
 大テーマではないけど、このニュースは軽くショックw


②1986年(昭和61年 ひきつづき中曽根首相)

・とまらぬ円高
 85年12月の記事では 190円-210円が主要アナリストの考える今後の予想 だったのだけど
 3月には174円、4月には166円。 (85年10月の記事では210円を超えると輸出に打撃がでると。)
 それにともなって中小企業に影響が出始める。
 プラザ合意でのラインが170-180円だったらしく、行き過ぎる円高に日銀が逆介入も。(失敗する。)
 7月、衆参同日選挙で自民大勝利。157円へ。
 8月、152円。この後87年2月まで円ドルは152-159円のレンジで推移。
 アナリストの中にはさらなるドル大暴落の予想もちらほら。(当たることになる。)

・株高 (時系列的なトコは上の円高んとこと一緒に見るといいかも)
 86年は円高と株高が2大テーマ。
 円高で輸出業は苦戦しても原油価格の下落など、公定歩合の引き下げ(86年は4回行った)で株高に。
 (公定歩合を引き下げても円高になる点はアメリカも引き下げてるから。
  このときの円高は円高というより全通貨に対してドル安。)
 4月、日経平均は1万5000円突破。
 8月、1万8936円 (上がるの早すぎ。)
 10月、調整が入って1万5800円 (今の中国みたいな動きだよね)

・都心の地価急騰
 都心部で地価が急騰する。一年で30-50%の値上がり。

・自民党大勝利 (円高、株高につながった)
 7月の衆参同日選挙で自民党が大勝。
 これによって中曽根の自民党総裁延長が確定。


③1987年(昭和62年)

・NTT上場(2月)
 86年来の株高もあって大注目される。
 売り出し価格は119万円、こいつが上場後1週間で276万と大化けする。(4月に最高値318万円)
 
 これ、今回雑誌読んで初めてわかったけど、この後の株ブームを作った本人はこいつだわ。
 証券会社もNTT上場にあわせて新しい顧客獲得のキャンペーンを張ってたし、
 NTT株も期待以上に化けたし、一儲けした自慢話がぞくぞくと広まったはず。
 硬派といわれる経済誌の東洋経済でも取り上げすぎ感があるから、大衆紙ではやばかっただろうな。
 とりあえず貯蓄から投資へ、の流れ一般化させたのはNTT株だなあと感じさせた。

・財テクブーム
 投資ブームはゴルフ会員権、土地、ダイヤモンド、絵画にも波及。
 そろそろバブルの臭いがしてきました。

・引き続き株高と円高
 2月、日経平均2万円突破 円相場は2月まで150円台前半のレンジ。
 3月、140円台に。
 4月、1ドル138円に。 NTT値上がり止まらず株ブームへ。
 5月、日経平均2万5000円突破。

・ポスト中曽根
 こちらは政治の大テーマ。
 安竹宮(安倍、竹下(田中派)、宮沢)が本命だが、 注目すべきは自民最大派閥の田中派の動き。
 60年2月に田中角栄が脳梗塞で倒れ、田中派の金丸信の発言力が高まっていた。
 このような背景で田中派で竹下でほぼ決まりだったが、長老たちは二階堂進を推す流れもあった。
とまあ5月までしか読んでないのでここからはまた明日。(総裁決定は11月)


●その他気づいたこと

・日本を引っ張ってきた企業
 何回も記事に登場する企業は東芝、日立の総合電機と自動車、商社。
 特に商社は日本を引っ張ってきたんだなーという印象をたびたび受けた。

 案外ソニーはさほどでてこないのね。
 最近躍進の任天堂もファミコンの記事とかあって時代を感じさせた。
 売上高にかかる利益率が30%以上ってどんだけファミコン高いんだ。

・日系企業強すぎ。
 プラザ合意後、アホみたいに円高が進む。
 それでもってアナリストが○○円を超えるとヤバイ、といったラインをガシガシ超えていく。
 例えば85年末に210円を割ると輸出関連を直撃って予測してるのに、半年後の86年6月には160円だもんな。
 とうぜん企業も負担になってるんだけど、そんな負担ものともせず、たった1年で適応していくんだよね。
 いまの中国企業みたいな強さを感じとることができた。踏まれても伸びてくような。日系企業つえー。

・生活は85年とどう変わったか?
 86年の記事で個人の金融資産は500兆円突破。というものがあった。
 現在個人の金融資産は1500兆円だから3倍か。
 GDP比でいうと86年は320兆円で現在が550兆円だから40%の伸びなのに対して+200%はすごいね。
 日経平均もほとんど変わらないから現金、保険、年金、土地のどの分野が増えたんだろうね。

 もうひとつ。86年に初任給14.5万円へupって記事があった。
 今年の大卒初任給は20.2万円だからこちらは30%の伸び。
 まあ物価とかから単純に比較はできないんだろうけどなんか微妙っちゃ微妙だよね。

さて、今日は87年から92年までしっかり読破して参ります。

バブルとその後

↑   by M でございます。 at 04:48 | comments(6)

July 03,2007

● OHT株の鉄砲事件

3日付け読売夕刊1面、久間防衛相辞任の横にひっそりとOHTの鉄砲事件のことが書いてあった。

OHT株20億損失、弁護士が名義借り取引…暴落後姿消す(読売オンライン)

興味のあったニュースなのでちょっと解説。

今日の記事のまとめ
・OHT株鉄砲事件についての解説

●鉄砲とは
まず用語から。
証券10社“鉄砲被害”…仕手戦で決済せず失踪(IZA)
にわかりやすい説明があったので引用
------------------引用---------------------
 鉄砲とは、注文を出して売買を成立させておきながら、
株券や代金を証券会社に払わないという不正な取引のこと。
注文するだけして決済しない行為を、発射したら戻ってこない鉄砲の弾に例えたとされる。
 関係者の話を総合すると、いわゆる「仕手筋」(特定の銘柄に大量の資金をつぎ込み、
株価を釣り上げようとする投資家集団)と呼ばれる投資家が、
複数の証券会社で先物取引を利用してOHT株に大量の買いを入れていたが、
ある時点で、決済を行わないまま姿を消したというのだ。
-----------------終わり---------------------

●OHT事件の流れ
5月15日、突如として東証マザーズ上場のオー・エイチ・ティー<6726>(以下OHT)が下げ始め、S安比例配分で引ける。
特に材料はなく、当日は様々な憶測を呼んだが、後日、どうやら鉄砲らしいとの意見が主流になる。
OHT株はその日だけでなく、その後1週間以上連続でS安を続け、売買完全合致で寄ったのは5月24日であった。
24日の終値は20万4000円。急落直前の株価は130万円前後であったから、実に84%の下落である。
そしてさらに数週間後、藍澤証券から顧客の信用取引に関わる損失の肩代わりを行った(もちろん請求する)
とのIRが発表される。その額は10人で約10億円であるという。
このような貸し倒れ引当をする証券会社はタイコム、大和が10億円前後、
その他数社が数千万円とネット証券を中心に10社程度に及んだ。

そして今回、日記の冒頭に乗せた読売の記事の内容は
・OHT株で大損こいた人(複数人)がいる。
・それらの人は六本木ヒルズに事務所を構える弁護士に自分の口座を貸していた。
・そして弁護士は行方不明になっている。
・どうやらその弁護士が鉄砲をぶちかまして逃げたらしい。
というもの。 そしてこの流れと弁護士の記事をから、事件は以下のようなものだったと考えられる。

●OHT鉄砲事件の流れ その2(弁護士の動きを中心に)

①弁護士がOHT株を買う
 (カッコ内はポジションの例:弁護士OHT100株)

②弁護士が友人らにOHT株を買う(絶対上がるから!&OHTの経営権を獲得したい)から
 口座を作って貸してくれと頼む

③友人の口座を使ってOHT株を買いまくる
 (弁護士口座:100株 友人名義口座:100株)

④OHT株価上がる

⑤株価が上がったところで友人と自分の口座のOHT株を売る。
 この際、また別の友人の口座から買い注文を出す。(ようはクロス取引だ。)
 (弁護士口座:現金x円 友人名義口座:現金x円 別の友人名義口座:OHT200株)

⑥売却して得たお金をもってドロン ←いまここ
 (弁護士口座、友人口座:0円 別の友人名義口座:多額の借金)

というものらしい。
一言であらわすと、自分が100円で買ったものを、自分が200円で買う(ただし友人名義で)。ということ。
200円で買った友人の口座は放置して、自分は売却益の100円を持って消えてしまう、という訳だ。

●信用取引を使ってクロス取引
上の流れで注意すべきは⑤。
ここで 別の友人の口座を使っても、お金を出して買うのも自分だから儲けにならないじゃん!
という疑問が出るが、信用取引を使うと解決する。

普通の現物取引だと
友人の口座に1億円を入金しても1億円分しか買い取れない。(OHT株が130万円なら76株だ)
クロス取引をしても弁護士口座で1億円のお金が入って、友人口座で1億円拘束されてる。
これだと利益が生じない。

そこで信用取引の口座を開いていると・・・
友人の口座に1億円入金、この時点で3億円までの取引が出来るようになる。
さらに、この口座でOHT株を買い、そしてその株を証拠金としてさらにOHT株を買い増す方法
(俗に言う信用二階建て)を使うとさらに大きな取引が出来るようになる。(蛇足1)
この二階建てを使うと1億円の証拠金で3億4000万円の取引が可能となる。

(蛇足1:この2階建てを使った場合の計算。やっつけ仕事。
1億円でOHT76株購入→この76株を証拠金に掛目は8割だとすると、2億4000万円分の取引可能に。
2億4000万円分のOHT株購入→OHT株は合計260株。
つまり信用取引を使うと1億円で3億4000万円分の株を買うことができるのだ。)

そしてこの状態でクロス取引をすると
弁護士口座:3億4000万円 友人名義口座:OHT株3億4000万円相当260株(証拠金は1億円)となる。
この状態で弁護士は口座から全額引き出してドロンすると、
差額2億4000万円が利益となる訳だ。
(ちなみに残された友人のOHT株(130万円で購入)が一株20万円で追証強制決済になったとすると、
2億8600万円の損失が確定、証拠金1億円が没収、残りの1億8600万円の借金となります・・・)

実際こんな簡単にお金って手にはいるもんなんだな。
元金も相当かかっただろうけど、20億円以上の利益はでたみたいだ。

結論:口座は絶対に貸しちゃいけない(口座を貸した謝礼は10万円程度だったらしい。)

●残る謎
残る謎は5月15日の急落である。
買い方に使った友人名義の口座から残った市場で売りさばこうとしたのだろうか?
もこちょい上手く売れそうだが・・・

他にもこの弁護士が自ら行った取引なのかそれとも黒幕に利用されただけなのだろうか。
とりあえず早く弁護士の身柄を!!!

参考
証券会社に激震「鉄砲事件」の背景
証券10社“鉄砲被害”…仕手戦で決済せず失踪 


↑ OHT株価

日々のニュース

↑   by M でございます。 at 23:02 | comments(3)

June 27,2007

● M&A時代に直接金融減

日経NETでちょっと面白いと思った記事があったのでメモ

今日の記事のまとめ
・企業の主な資金調達方法として ①銀行融資②増資③債券発行 の3つがある
・金融規制緩和で企業は銀行融資だけでなく、市場(増資)で資金調達する時代になったと思っていた
・結果的に逆で、買収を恐れた企業は増資による資金調達方法を回避する現象が起こっている。


---------------以下引用-----------------
エクイティファイナンス、上半期7割減・敵対的買収の増加警戒
 企業のエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)が大幅に減少している。
今年上半期(1―6月)の新株発行と新株予約権付社債(転換社債=CB)発行の合計は約7500億円と、
前年同期に比べて約7割減少、4年ぶりの低水準にとどまる見通しだ。
敵対的買収の増加を背景に、浮動株が増えるエクイティを敬遠するムードが強まったほか、
金利の上昇を見越して普通社債(SB)の発行を前倒しする動きが相次いだためだ。

 新株発行とCBを合わせたエクイティファイナンスの内訳は、
新規株式公開を含む増資が62%減の3800億円、CBは75%減の約3700億円にとどまりそう。
合計では、日経平均株価が7607円まで下落した2003年1―6月(5417億円)以来の低い水準となる。
発行額が1000億円を上回ったのは、
ダイキン工業の公募増資と東レのCBの2件だけで、前年同期の6件を大きく下回った。  (16:32) 
-----------------引用終わり-------------------

このニュース、個人的にものすごく面白く感じた。
というのも、銀行からの融資を頼りにするのはやめた!これからは株式市場でも資金調達ができるぞ!
という時代になるのかと思っていたら逆にエクイティファイナンスを回避する傾向になってる。
記事見てなるほどと思った当たり前のロジック(エクイティファイナンス→浮動株増→買収されやすくなる)
なんだけども、株式市場の参加者が増えたので
ただ漠然とこれからは市場で資金調達することも多くなるのかなと思っていた。

株式市場が英米化(成熟化)していく中での一過性の反応だと思うんだけど、
久々こりゃ一本取られたと思ったニュースだったので紹介してみました
M&Aが今の東京市場のテーマだしね。

※エクイティファイナンス
バランスシート上で資産(エクイティ)側に仕分けされる資金調達方法。
例えば増資とか転換社債とか株式を発行して資金を調達する方法。
逆に債券発行や銀行からの借り入れなどの資金調達方法をデットファイナンスという。
こちらはバランスシート上で負債(デット)側に仕分けされるため。

エクイティファイナンスを行うと発行株式数が増えてしまうため、
(一株あたりの利益が)希薄化する思惑から株価が下がる現象がが多々おこる。
でも冷静に考えてみると、資金調達して、そのお金で調達した分以上の利益を生めれば希薄化は起こらないんだよな。
いかに調達したお金をうまく使えないと市場が予想しているかがわかる。

日々のニュース

↑   by M でございます。 at 01:23 | comments(2)

June 24,2007

● ヘッジファンドの上場

22日(金)、NY市場でブラックストーンという投資ファンドが上場を果たした。
有名なプライベートエクイティファンド(非上場企業のファイナンスに関わり経営参加し企業価値を高め売却するファンド)で
先月だか今月、中国の外貨準備の一部の運用を任される事が決まったファンドである。

今日の日記のまとめ
・ビジネスモデル的に上場は許されるのか?
・上場企業のメリットと責任を4つ。

・それに加えて 上場は許されるのかについての個人的な意見と邪推をちょろっと書いた。
今日は上場企業のメリットと責任を覚えて帰ってください。

●ビジネスモデル的に上場は許されるのか?
アメリカのヘッジファンドで初の上場企業は今年2月、フォートレスというファンドがNY市場にIPOを果たした。
フォートレスの事業は多岐にわたっているが、その中にプライベートエクイティ(PE)事業も含まれていた。
この上場に際し、議論となったのはそのPEのビジネスモデルが上場に不向きではないか、という点である。

上場企業を買収し、(上場廃止させ)非上場企業とすることで、こころおきなくナタを振るって
合理的な経営をし、企業価値を高めて最終的に売却する、というビジネスモデルは
非上場のプライベートエクイティファンドだからできることではないだろうか?というのがその問題点だ。

●上場企業のメリットと責任
ここで上場企業と非上場企業の違いを説明しておきたい。
もっともわかりやすい説明のため、企業が市場に上場することのメリットと責任を箇条書きで。

①資金調達
 上場すると、株式市場で資金の調達が可能となる。
 ニュースで「増資」って単語が出たらまずコレ。あらたに株を刷って投資家に買って貰うこと。
 こうすることで企業にはお金が入る。
 ホリエモンはニッポン放送買収の資金にリーマンにMSCBを発行したっしょ?
 これも上場企業だからできた資金調達方法。

②情報開示
 上場=誰でもその企業の所有者になれる、ということを意味するため、情報の公開について厳しい規定がある。
 四半期に1回必ず業績発表をする、有価証券報告書に定められたことを記載することが
 法律あるいは証券取引所の規定で決められている。
 これらは企業の公開する情報を元に投資家は投資をするので、当たり前の措置といえる。
 なお、エンロンの不正会計事件以降この辺は厳しくなり(SOX法:あまりの厳しさにこの間緩められた)、
 日本でも今年度から日本版SOX法を導入し厳しくなる予定。

③所有者と経営者の不一致
 上場は広く投資家にその企業の所有者になってもらうことなので
 当然株主と経営者が違う人間になる場合がある。
 つまり上場した場合、経営者と株主との意見の相違が起こりうる。
 ただ、上場したての会社は経営者=創業者=大株主になってることが多いので
 経営者と株主の意見の不一致は起こりにくい。

④創業者利益
 上場を果たすと創業者は自分の持ち株を市場で売却することができる。
 売却しなくても、いままで価値の付けようのなかった自分の株を市場での価格から試算できるようになる。
 上場を果たすことによって創業者は一夜で大金持ちに変わるのだ。
 また、日本の場合上場を果たすことで銀行からの融資に個人の連帯保証をしなくてもよくなる。
 (これがでかいらしい。というか株式会社は有限責任なのにも関わらず、銀行は非上場の会社に融資をする際、
 社長個人の連帯保証を条件とするため完全に無限責任になっている。コレってどーなのよw)

という4点が非上場企業にない上場企業の特徴である。

●プライベートエクイティが上場してどーすんのよ。
この項は個人的な意見だが、PEファンドが上場してどーすんのよ。と思う。
だっていままで一般への情報開示義務(上の②)がないから、ナタを振るって経営改革できたんじゃないの?
これが包み隠さず全部公開って環境になって今まで同じパフォーマンスを上げられるかと考えると、コレは疑問。

●ひょっとして勝ち逃げなんじゃないの?
そこでふと思うのは④である。
ひょっとしてヘッジファンド、プライベートエクイティファンドのおっさんたちは
最近の相場はかなり過熱気味だと感じて、ここらで上場、創業者利益をがっつりいただこうって腹なんじゃないのか?

とまあ最近の日本の新興市場の上場ゴールぷりから思わず邪推してしまった。
最後にミスター上場ゴール アスキーソリューションの株価を貼って今日はここまでとしたい。
次回はちゃんとダメリカの長期金利の続き。あ、長短金利の基礎についても書いたよ。この一個下の記事
なお、今回の記事にプライベートエクイティのことをPEと略す部分があったが、
実際こう略すことはあるかどうか不明である。




↑アスキーソリューション<3801>
上場時一株200万円→ちょうど1年後の現在一株8200円。
これを上場ゴールといわずして何といおうか。

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↑   by M でございます。 at 02:09 | comments(2)

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