美人女子高生Mちゃんが一日一問経済クイズを出しちゃいます。→出してません。経済解説ブログに退化。
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日銀総裁の後任人事を巡って混乱が続いている。
しかしこの混乱、ちょっと的が外れた方向に議論が進んでいる様に思う。
今回は野党の存在意義からこのたびの日銀後任人事を巡っての問題の是非を導き出したい。
なるべくわかりやすく書くつもりだけど、読むのがめんどくさい人は今回のエントリーの要旨だけでも読んでね!
なお、今回のエントリーは個人の考察であって、本来のブログの趣旨、一風変わった意見の紹介ではないことを留意されたい。
今回のエントリーの要旨
1 民主主義における野党の役割は与党に意地悪をすることで、自らの意見を政治に反映させることである。
2 今回の日銀総裁後任人事を巡る争いも野党による意地悪。(これは決して悪いことではない。)
3 ところが報道や国会の議論は「官僚出身者が総裁でいいのか」と、全く方向がずれた。
4 ドMは今回の政治の混乱について自民党に強い責任があると考えている。
以下、本文。
●議会制民主主義における野党の意義
日本はご存じのとおり民主主義である。
民主主義の定義はズバリ「多数の支配」である。
現に議会で採決したときに生じた差が一票でも可決は可決だし、否決されるときは否決される。
つまりたとえ49%の人が反対したとしても51%の支持があれば、
51%の人の意志に従って政治が行われるのが民主主義である。
これが民主主義のいいところでも悪いところでもあるのだが、本論と外れるので語らない。
さて、多数が絶対的に政治を行うのが民主主義であるのならば、
いったい「野党」とはなんなんだろう。
「野党」とは議会において少数派の勢力の事を指し、
上記の定義に従えば、200000000%彼らの意見は通らないことになる。
例えどんな正論を議会でぶっても、多数である与党が反対すれば否決されるためだ。
そうであるなら彼らが存在する意義はほとんどないといえる。
野党は考えた。数で劣る以上、議会で採決しては2億%負ける。
じゃあ、どうやって自分らの意見を政治に反映させればいいのだと。
そこで編み出されたのが「牛歩戦術」や「フィリバスター」である。
野党は議会において牛歩やフィリバスターなどの時間つぶしをし、
廃案をちらつかせることによって与党にある程度の譲歩を引き出すことに成功した。
これらの戦術が、まともに議論・採決したのでは2億%少数派の意見が通らないはずの民主主義において
多数派の譲歩を引き出し、政治に自らの意見を反映させることができたのだ。
野党は少数派の意見を政治に反映させるという存在意義をちゃんともっていたことになる。
これは少数派を支持する国民にとってもハッピーなことであり、多数派の専横を阻止する効果も生じたと言える。
(政治学の世界では野党の「粘着性論」という学説である。興味があればぜひ。)
●日銀総裁人事の混乱
さて、話を日銀総裁の後任人事に移そう。
もともと民主党は2月には総裁は武藤氏でいいじゃろ、と妥協的な態度をとっていた。
ところが3月の頭に2008年度の予算案と道路特定財源の据え置きを与党が強行的に衆院で採決したために
民主党がブチ切れし、日銀総裁後任人事で駄々をこね始めた。これがコトの原因である。
衆院で2/3以上の議席を与党に取られている以上、予算案と法案で民主党の意見が通る可能性はゼロである。
ところが日銀総裁の後任人事は衆参両院での賛成多数での承認が必要となる。
参院で多数を握る野党がコイツを利用して、少しは法案に影響力を及ぼそうと企んだわけだ。
●方向違いの報道・議論
ところが、近頃の報道や国会での議論をみてみると、
民主党は「官僚出身の武藤氏は適任ではない」と理由をづけ反対している、とのことで
あたかも日銀総裁の後任は官僚出身でいいのか、ダメなのか、といった議論になっている。
この方向違いの議論が問題である。
2月時点で民主党は武藤でいいじゃろとの妥協を示した以上、官僚出身云々は明らかに後付けの理由である。
つまり民主党は、自民党の推す日銀総裁候補がバーナンキだろうと、イエス様だろうと反対したに違いない。
民主党の本当の反対理由は予算案と重要法案で少しはおれたちの意見反映させろよってことである。
にもかかわらず、議論は「官僚出身者が日銀総裁でいいのか」に終始している。
●解決策と責任(この節は客観的な分析ではなく上の流れを踏まえた私論である)
今回の総裁人事の混乱の解決策として一番良いのは
民主党が「道路をもっと話し合う」という条件で総裁を武藤氏に決定することだ。
もともと民主党も武藤でさほど問題ないと考えているし、
民主党の本来の目的である重要法案への意見反映のチャンスが生じる。
武藤氏決定後に話を先流しすると自民党に裏切られる可能性があるので、
あらかじめ、このように法案を落とし込むといった自民党との取引をしておくのが良いだろう。
国民にとってもかなりの程度民主党を支持する人がいる以上、
法案に民主党の意見が反映されることはプラスになる。
逆にもっともまずいのは自民党が日銀総裁人事で妥協することだ。
これは上の逆。
さて、今回の事件、(多少感情的な言い方だが)民主党と自民党どっちが悪いのだろうか?
筆者ドMは自民党の責任が重いと考えている。
もちろんここまで混乱に落とし込む民主党もどうかなと思うが、
まともに議論しては民主主義である以上、100%負けるのだから暴挙にでるのはしょうがない。
(理想的には民主党は正直に「道路と予算案に反対だからここで駄々こねます」というべきで、
国民も ああ、粘着性ね と理解を示すべきだと思う。)
一方、自民党。こいつの責任は重い。
そもそも話し合い・議論とは妥協を見つける事であって、
議会(議場ではなく主に料亭)で妥協点を見つけるのが政治というものではないだろうか。
それを妥協点を見いだせず、強硬に採決して丸く収まるならともかく、完全にヘタこいてるのがダメだ。
民主党がダダこねてるのが有権者に悪く映り、自党への得票につなげようと考えているのだろうが
このままでは政府批判も出かねず、五分五分のバクチにように思える。
以上、長々と書いてきたが、もっとも言いたいことは
野党は議会でまともに与党にぶつかって採決しても勝てるわけがない。
その上でほかの手段を用いて自分の意見を反映させようとする方法に出るが
それは結果的に少数派の意見の反映となる。
今回の日銀の人事はその過程である。 ということである。
「多数の支配」であるからと言って少数の意見を完全に無視してはいけない。
と政治哲学の萩原先生は言っていた。(これ、ロジカルに説明できる人、求む。)
ちょっと面白いというか世の中って不思議だなあと思うニュースがあったので紹介。
旧拓銀経営陣に賠償総額101億、全訴訟が終結(yomiuri online)
拓銀の経営陣に対する賠償の訴訟がおわったらしい。
拓銀と言えば、98年に破たんした北海道を拠点とする銀行だが
ぼくらが経済のニュースを見る年ごろにはすでに破たんしていて、あまり思い入れがない。
(著者は16歳なので98年当時6歳だ。)
さて、そんなことは置いておいて、記事にも見える拓銀最大の不良融資先「カブトデコム」の話である。
カブトデコムはリゾート開発(この時点でバブルを彷彿させる)を行う会社で
拓銀からの融資1200億円を焦げ付かせて、拓銀を破たんに追いやった。
このカブトデコムは北海道は洞爺湖に600億円をかけて会員制のホテルを建てた。
社運をかけた事業ってやつだ。
もちろんこの事業は見事にコケて、数年後に60億円で売却するはめになるのだが。
バブル崩壊後、拓銀は消えてなくなり、カブトデコムは再起不能になった。
しかしこのホテルだけは10年の歳月をかけ見事に蘇り、この夏、このホテルでサミットが開かれる。
例のウィンザーホテル洞爺である。
バブル景気に浮かれた拓銀が本体をつぶして作ったようなホテルに世界の首脳が集まって
金融危機にゆれる世界経済をどうするか話をするってなんか変だよな。
拓銀の怨念が聞こえてきそうだ。
(了)
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銀行って預金者からお金を預かって、お金を貸し出す。
だけど、拓銀破たん後、預金者は1円も損してない。
ということはその融資したお金っていったいどこから来たのだろうね。
信用創造うんぬんの話なんだろうけど、ちょっと不思議。
先週のソジェンの事件も同じで、
トレーダーのポジション8兆円分はちゃんと取引されて、決済されてた。
そのお金ってどこにあったんだろう。
そして下の動画、1万6千株しかないジェイコム株を61万株どうやって売ったのか。
S安の売り板に60万は圧巻。sugeeee!!
続々とわかってきてる&金融業界を巻き込んだ動きになってるので簡単にメモ。
とりあえず各メディアの情報をまとめてみたのだけど、こういうときgoogleニュースが便利すぎて笑える。
いちおう昨日の記事に関連するトコを太字にしとくぜ。
●トレーダー関連
・31歳男性。年収は「10万ユーロ未満でそれほど高くはない」レベルだそう。
・2年前まではバックオフィス勤務
・商品はユーロストック50という指標先物
・18日の発覚時の損失は2800億円。解消時に相場を崩して7600億円まで広がった。
・(相場を崩したのが)FRBの利下げの一因になった疑惑あり。
●周辺の動き
・ソシエテ分割&売却案浮上
・オランダ、イタリアの金融機関が名乗りを上げてるが、仏政府はBNPパリバ希望か。
・パリバだとSGと特に業務かぶってるから大量リストラありの予測。
・発覚の18日から発表の24日まで時間があったので、SG株でのインサイダー取引があったとみて捜査開始
・SGの陰に隠れてバンカメも120億ドルの増資発表
不謹慎ながら笑ってしまった記事はこれ
「額の大きさに驚き」 英大手銀行をつぶしたリーソン氏
ベアリング銀行で不正取引したトレーダーに聞くなw あほww
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追記:ロイターによるとポジションのサイズは500-700億ユーロ。
8兆円から11兆円ってどんだけ・・・・
仏ソジェン、21─22日に大量のポジション解消=市場筋
ソシエテジェネラルで一人のトレーダーが7600億円の大穴をあけたことが発覚した模様。
ポジションをすでに閉じているのかどうか不明だが、額がまたすごい。
仏大手銀 トレーダー不正7600億円損失(読売ONLINE)
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上の記事をまとめると
・パリ勤務のトレーダーの一人が許可されていないほどのポジションを取って巨額損失
・損失額はおよそ7600億円
・複雑な架空取引で損失を隠ぺいしていた
・不正取引を行っていたのは2007年から2008年の初めまで
・過去の似たような事件はベアリング銀行で1600億円、大和銀行1100億円、住友商事2800億円
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トレーダーに目が行きがちなこの事件、「バックオフィス」に焦点をあてて紹介したい。
●不正取引の起こり方
株でも何でもやってみるとわかるのだが、ロストカットというのは非常に難しい。
損切りをせずに持ち続ければ買値を上回るだろうと思ってしまうからだ。
どうやらプロのトレーダーでもそう思う人がいるらしい。
今回の不正取引にかかわらず、ベアリング銀行、大和銀行、住商の事件でも
トレーダーが少しの損失を取り戻そうとさらに大きくポジションを張り、
そのまま抱えたまま死亡というパターンである。
つまりこの不正取引の「不正」には2つの意味が込められているといえる。
・トレーダーが許可を超えた金額をつっこむ不正
・ルールを破って不正にポジションを持ち続けるという不正
である。
●バックオフィスの管理
普通、トレーダーというのはポジションと損失の上限が決まっている。
適当な例だが、ポジションは50億円まで、含み損は5%までという具合である。
トレーダーはポジションの額の上限を超えてポジションをとることはできないし、
含み損の上限を超えると自動的にポジションを解消する取引が行われる。
それらを管理するのが「バックオフィス」だ。
バックオフィスの人々は日々、トレーダーが分を超えてポジションを取っていないか、
あるいは含み損を抱えていないかをチェックする。
トレーダーが許可された損失を超えると解消するトレードを行うのも彼らだ。
過去の事件でいうとこれらのバックオフィスの業務が機能不全に陥っていた。
たとえば住商の事件だと、
ポジションのチェックを行う業務の責任者は不正を行っていたトレーダー自身であった。
その上、今回の事件と同じように複雑な取引で損失を隠ぺいしていたが、
不正を働いたトレーダーが、取引の権限を持つ上司の印鑑を勝手に持ち出して取引を行っていた。
ひどすぎて笑えるが実際に行われたことである。
今回の事件はおそらくこれほどひどくはないだろうが、
なぜ不正な取引をバックオフィスが管理できていなかったのか、今後の真相解明に注目である。
●不正取引期間の短さ
今回の時間は2007年から2008年の頭までと1年未満の期間で行われた。
住商の事件は85年から発覚した96年までの11年間にわたって行われ、これと比べると非常に短い。
不正を働いた商品は指標先物であったといから、
おそらくサブプライム後のボラリティが高くなった相場で
ひと山あてようとしたところ、予想と逆に動いてしまったに違いない。
事件の類型としては、阪神大震災時の日経のオプションで大損こいたベアリング銀行のケースと非常に似ている。
こちらのケースは阪神大震災のとき、下げ止まるだろうという予想の元で
ポジションを張ったところ、そのまま下げられてしまったというものである。
その結果、ベアリング銀行は破たんした。
(ちなみにこの事件は、イギリスの銀行のシンガポール支店でイギリス人が日経平均の取引をしたところ、
大損こいて銀行がつぶれ、オランダの金融機関が買収した。という超グローバルな事件だ。)
●デリバティブの難しさ
過去のベアリング銀行と住商の事件に加えて今回の事件は、
先物取引というデリバティブ金融商品が舞台の事件である。
デリバティブはハイリスク・ハイリターンな商品であり、
損失を隠されて拡大された時には会社にとって致命的なダメージになる。
ベアリング銀行は一人のトレーダーの損失で破綻に追い込まれた。
また、市場もあまり大きくないのでポジションを抱え過ぎると
解消するときに相場自体を崩してしまい、さらに損失がでてしまうのも特徴だ。
住商の事件ではあまりに巨額のポジションを抱えてしまい、売るに売れなくなった状態から損失が膨らんだ。
一方で高度な専門知識を必要とするので、これらの管理をするバックオフィスも
それなりの知識を持った人々でないとならない。
もっとも管理を徹底しなければならない分野なのにも関わらず
もっとも管理が難しい分野となっているトコが、
デリバティブの不正な取引で巨額の損失を生みやすい体質になっているのだろう。
今回の事件をふくめバックオフィスの大切さがよくわかる事件だ。
外資系のバックオフィスを狙っている就活生はこの事件、要注目である。
(了)
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参考 住商事件―相場を通して検証するその真実
住商の2800億円損失の取引記録を中心に解説した本。
おもしろかったが、興味がないとつまらないと思う。
今回のニュースをみて告白 (文春文庫)
を買ってみた。こちらは大和銀行のほう。卒論が終わったら読みたい。
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