【ブルとベア】
雄牛は角を下から上へと突き上げ、熊は腕を上から下へと振る。
その姿から、将来的に株価が上昇するだろうと考えることをブル(楽観)と呼び、
下落を予測することをベア(悲観)という。 さて、GWのちょい前くらいから急激に楽観論が台頭している。
確かに株価をみてみると2月の底値から日経もダウも30%ほど回復し、
ここにきて経済のダメージの速度が鈍化していると各国の要人は発言している。
この楽観ムードはやがて失望をもたらすと考えているので
何回かに分けて今後の世界経済の展開を書いてみたい。
(自分の考えなので情報の信用・取捨選択は自己責任でよろ。)
先に話のロジックを紹介しておく。
・最近の株価の上昇の主因は金融業の信用不安後退。
この(100年に一度の危機としては)早期の不安後退は欧米企業の会計に対する体質が貢献した。 (今回の日記)
・しかし金融業に対する不安が後退しただけで実体経済はなんら変わっていないから
今後(1-2年は)の株価上昇は望めないし、経済自体もよくならないだろうと予想。 (第二回)
・勝ち残る企業はリストラ(人員的にも、設備的にも)を思いっきりできる企業。 (第二回)
・この10年間世界中を幸福に導いてきたシステム
(米地価上昇→アメリカ人世界中でつくられた製品買う→新興国潤う→米国債購入→アメリカに金戻る)
が崩壊したから今後はどうなるのか?
あとアメリカの財政赤字とドル安についても書きたいな。 (第二回か第三回)
以下内容
【最近の上昇と主因】
この1年、色々企業の情報に触れてきて欧米スゲーと思ったことがある。
それは欧米企業の会計の透明さ(というか企業の体質)である。
リーマンショック後の金融危機でバッタバッタと企業が潰れ、 多くの金融商品もゴミみたいな値段がついた。
そしてここ数年羽振りの良かった銀行、証券が数百億ドル規模を損失を計上することになったのだが、
その損失を計上する姿勢が100年に一度と呼ばれる割には 結構あっけなく楽観ムードを出すに至っている主因のように思う。
この姿勢は評価に値する。
自分は日本のバブル崩壊後長期に渡った景気後退の主因は不良債権隠しにあったと考えている(注1)。
銀行や証券、土地投資に走った企業が巨額の含み損を抱えているのにもかかわらず、
その損失は「とばし」をすることで表面にでてこなかった。
そんな企業の体質は結果的に、その企業がどれだけのリスクを抱え、
そのリスクが既にどのくらいの損失となっているか分からないということとなった。
だから投資家も買いたがらず、銀行も貸したがらず、 政府も建前上は健全な会社(社会)を救済することができなかった。
それゆえ文字通り「どうすることも」できなくなり、企業は倒れていった。
山一証券は最後の時まで社長と財務責任者しか簿外債務の存在も額も知らなかったという。
しかし今回の金融危機に際して欧米の金融機関はどうだろうか。
日本円にして数兆円に上る損失をどんどん公表し、自らのリスクと損失を世間に知らしめた。
結果的にこの体質・姿勢が増資や債券の発行時に買い手がつくこととなり、
資本や手持ちの資金が増強されることで大きな金融機関の破たんはなさそうだとのコンセンサスがとれた。
ここ数週間の世界的な株価の上昇はこの安心感によるものである。
上に述べたように、株価はいくらか上がったが 金融セクターの信用が若干回復しただけで、
製造業の業績のまずさは全く変わっていない。
むしろ、今までアメリカ人が世界中から借金をして世界中の製品を買っていた構造が壊れた今、
次なる展開は相当不透明なのではないだろうか、ということを第二回で書きたいと思う。
注1:不況の主因は2つあると考えていて、
もう一つは終身雇用を前提とした企業の雇用形態のためリストラができなかった(=過剰な投資をし続けた)事。
これについては第二回に触れると思う。
●以下は蛇足だが、今回の締めとしては今後半年間の株価の予想をしたい。
日経:1万円を天井に、9000円から8000円のレンジ。
理由:
金融セクターの信用回復のみが材料であり、これはすでに織り込んだ。
問題の製造業の業績は極めて不透明である点と、
買い手の不在によって上昇材料がないことから現在の株価が天井だと考える。
【かつてのMの予想と勝敗】
・コールドストーンは売れ行き不振で1年で撤退する 【負け】
・クリスピークリームドーナッツは同じく1年で撤退する 【負け】
・アメリカは不動産価格の下落で不況が訪れる 【引き分け】
・日経の2009年後半の株価は 1万円が天井の8000-9000円のレンジ 【new!!】
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