コンテンツ支援ファンド創設へ
政府は、国際的に評価が高い日本のアニメーションや映画などコンテンツの海外進出を支援するため、「コンテンツ海外展開ファンド」(仮称)を創設する。今秋までに発足させる方向で出資規模などを詰めており、7月にも新設される官民共同ファンド「産業革新機構」などから資金を調達する案が有力。国内の制作会社や作家からコンテンツの海外ライセンス(使用許諾)を取得するとともに、海外の制作会社に出資し、国際展開を後押しする。
今年の米アカデミー賞で「おくりびと」が外国語映画賞、「つみきのいえ」が短編アニメーション賞をダブル受賞するなど、日本映画やアニメの国際的評価は一段と高まっている。
しかし、内閣官房によると、日本のコンテンツ産業の海外売上高比率は2004年時点で1.9%にとどまり、米国の17%に比べ大きく見劣りする。ファンドによるてこ入れで、「米国並みの海外売上比率を目指す」(経済産業省)計画だ。
引用おわり。
日本のコンテンツ(アニメ、映画、ゲーム、テレビ番組等)は世界に通用するものと思われがちだが
自国との売上比率からみれば実際マルドメ(まるでドメスティックの略らしい)な業界だ。
ついでに言うと成長率も海外に比べ鈍く、我々の持つイメージとは相当異なっている。
2年近く前だがこいつをなんとかしようとコンテンツ制作支援について友人と色々考えた。
苦労の甲斐あって相応の評価をもらうことができたのは良い思い出だ。
今でも日本のコンテンツは世界に通用するモノがあると信じているので 今回のニュースは方向的に大賛成である。
(このエントリは官民ファンドという方法がちがくね?みたいなエントリになると思う。)
ただし現時点でコンテンツ業界は苦境に立たされている。
ひとつは業界構造的な問題で、制作委員会方式による ①制作資金の制約と ②諸権利の分散。
もう一つはネットに違法アップロードされることで業界に金が入ってこないという問題だ。
以下なるべく簡潔に書く。
一つ目の問題は制作委員会を設立して広告代理店、キー局、出版、流通会社などが それぞれ出資、
その資金で制作会社がコンテンツを作る、という構造が主流になっていることが原因だ。
制作委員会は無限責任であり出資者がハイリスクなものに手出ししない、
作成されるコンテンツは担保となりえず制作会社の資金難などの制作資金の問題、
そして制作委員会方式で作られたコンテンツは著作権やコンテンツをDVD化、書籍化、
2次利用などの権利が分散(出資者がそれぞれムシ取っていく)しているのが問題となっている。
現状で海外で売れないのも海外での販売するために許し取り付ける権利者が多すぎたりするのが問題なのだろう。
今回の官民共同出資ファンドがどこまで改善できるかはいまいちよく見えない。
ただ方向性は良いと思う。日本で売れるコンテンツは世界で売れるよ。うん。
2つ目の違法アップロードと業界の売上減というのは今回の話と多少ずれるのでさっさと書く。
この業界の人は近年の業界の縮小はネットの違法アップロードが主因だと言っている。
そしてネットへのアップロード規制の方向へ業界・政府は動いているようだ。
だが基本的にネットにアップロードを防ぐのは不可能だし、
技術革新の末に消費者が安いコストでコンテンツをみられるようになったのは社会の便益的には圧倒的にプラスである。
だとしたらアップロードを規制する方向(つまり消費者に不利益となる方向だ)は間違えであり、
むしろアップロードをされること前提でコンテンツ制作者に利益の出るビジネスモデルを作っていくのが、
正しい流れであるように思う。実際そのコンテンツ自体を鑑賞して、楽しむ人数は増えている。
この業界の本質は「コンテンツを楽しむ」ことにビジネスチャンスは存在しており、楽しむ人数はネットによって増えている、
そしたらあとはカネにするだけだ。業界は根本的なビジネスモデルの変容を求められている。
もちろんその過程で既存の中抜き業者(TV局だったり、出版社)は淘汰される可能性があるが、技術革新についてこれない企業は淘汰されるのが常である。
ちょろっと前に日テレの経営陣の平均年齢は74歳という誰かのブログの記事(「日テレ74」で検索すれば多分出る)を読んだのだが、
この年齢の経営陣が、そしてこの経営陣を擁する企業が、このイノベーションについてこれるかは相当疑問である。
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