22日(金)、NY市場でブラックストーンという投資ファンドが上場を果たした。
有名なプライベートエクイティファンド(非上場企業のファイナンスに関わり経営参加し企業価値を高め売却するファンド)で
先月だか今月、中国の外貨準備の一部の運用を任される事が決まったファンドである。
今日の日記のまとめ
・ビジネスモデル的に上場は許されるのか?
・上場企業のメリットと責任を4つ。
・それに加えて 上場は許されるのかについての個人的な意見と邪推をちょろっと書いた。
今日は上場企業のメリットと責任を覚えて帰ってください。
●ビジネスモデル的に上場は許されるのか?
アメリカのヘッジファンドで初の上場企業は今年2月、フォートレスというファンドがNY市場にIPOを果たした。
フォートレスの事業は多岐にわたっているが、その中にプライベートエクイティ(PE)事業も含まれていた。
この上場に際し、議論となったのはそのPEのビジネスモデルが上場に不向きではないか、という点である。
上場企業を買収し、(上場廃止させ)非上場企業とすることで、こころおきなくナタを振るって
合理的な経営をし、企業価値を高めて最終的に売却する、というビジネスモデルは
非上場のプライベートエクイティファンドだからできることではないだろうか?というのがその問題点だ。
●上場企業のメリットと責任
ここで上場企業と非上場企業の違いを説明しておきたい。
もっともわかりやすい説明のため、企業が市場に上場することのメリットと責任を箇条書きで。
①資金調達
上場すると、株式市場で資金の調達が可能となる。
ニュースで「増資」って単語が出たらまずコレ。あらたに株を刷って投資家に買って貰うこと。
こうすることで企業にはお金が入る。
ホリエモンはニッポン放送買収の資金にリーマンにMSCBを発行したっしょ?
これも上場企業だからできた資金調達方法。
②情報開示
上場=誰でもその企業の所有者になれる、ということを意味するため、情報の公開について厳しい規定がある。
四半期に1回必ず業績発表をする、有価証券報告書に定められたことを記載することが
法律あるいは証券取引所の規定で決められている。
これらは企業の公開する情報を元に投資家は投資をするので、当たり前の措置といえる。
なお、エンロンの不正会計事件以降この辺は厳しくなり(SOX法:あまりの厳しさにこの間緩められた)、
日本でも今年度から日本版SOX法を導入し厳しくなる予定。
③所有者と経営者の不一致
上場は広く投資家にその企業の所有者になってもらうことなので
当然株主と経営者が違う人間になる場合がある。
つまり上場した場合、経営者と株主との意見の相違が起こりうる。
ただ、上場したての会社は経営者=創業者=大株主になってることが多いので
経営者と株主の意見の不一致は起こりにくい。
④創業者利益
上場を果たすと創業者は自分の持ち株を市場で売却することができる。
売却しなくても、いままで価値の付けようのなかった自分の株を市場での価格から試算できるようになる。
上場を果たすことによって創業者は一夜で大金持ちに変わるのだ。
また、日本の場合上場を果たすことで銀行からの融資に個人の連帯保証をしなくてもよくなる。
(これがでかいらしい。というか株式会社は有限責任なのにも関わらず、銀行は非上場の会社に融資をする際、
社長個人の連帯保証を条件とするため完全に無限責任になっている。コレってどーなのよw)
という4点が非上場企業にない上場企業の特徴である。
●プライベートエクイティが上場してどーすんのよ。
この項は個人的な意見だが、PEファンドが上場してどーすんのよ。と思う。
だっていままで一般への情報開示義務(上の②)がないから、ナタを振るって経営改革できたんじゃないの?
これが包み隠さず全部公開って環境になって今まで同じパフォーマンスを上げられるかと考えると、コレは疑問。
●ひょっとして勝ち逃げなんじゃないの?
そこでふと思うのは④である。
ひょっとしてヘッジファンド、プライベートエクイティファンドのおっさんたちは
最近の相場はかなり過熱気味だと感じて、ここらで上場、創業者利益をがっつりいただこうって腹なんじゃないのか?
とまあ最近の日本の新興市場の上場ゴールぷりから思わず邪推してしまった。
最後にミスター上場ゴール アスキーソリューションの株価を貼って今日はここまでとしたい。
次回はちゃんとダメリカの長期金利の続き。あ、長短金利の基礎についても書いたよ。この
一個下の記事。
なお、今回の記事にプライベートエクイティのことをPEと略す部分があったが、
実際こう略すことはあるかどうか不明である。
↑アスキーソリューション<3801>
上場時一株200万円→ちょうど1年後の現在一株8200円。
これを上場ゴールといわずして何といおうか。
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